
転職情報の体験記
当時は、モールス信号を使って世界各国と交信するのが時代の花形でしたが、モールスが叩けるのは第1級アマチュア無線技士に限られていました。
この資格は結構難しく、プロの通信士の学科試験が免除になるくらいでしたから、全国でも数名の合格者しか出ていませんでした。
年に2回実施されていましたが、私が受験する前の回には合格者が全国で一人もいないというありさまでした。
したがって次回はいくらか易しくなるのではないかと考えて猛勉強しました。
困ったのはモールス符号を覚えることでした。
例の「トン、ツー」というやつです。
キーの叩き方から練習しないといけませんが、本や写真だけではとても覚えられるものではありません。
そこで、発信器としてブザーを作りました。
キーを押すと「ブ、ブー」と音が出ますから、これをモールス符号にあてはめて練習することにしました。
熱中してくると指先が汗でびっしょりになり滑ってくるので、ガーゼで袋を作りキーに巻き付け、必死になって練習したものです。
少し慣れてきたところで、「通信士のためのモールス練習」というLPレコードが発売されていたのを買い込んで、毎日毎日、何回も何回も繰り返し練習しました。
このレコードは、アルファベットや50音が羅列されているだけのものですが、それで練習したわけです。
熱心に練習したものですから、レコードが次に何を打ってくるかまで覚えてしまいました。
そのころになると、すっかりキー操作を覚えていたようです。
実際の短波信号を初めて聞いたのは、「JOS」(トツーツーツー・ツーツーツー・トトト)という諌早からの信号で、これが聞き取れたときの感激は忘れられません。
この諌早の電波塔は、日本に残された最後の無線電報センターでしたが、数年前、ついにその幕を閉じました。
さて、特訓の甲斐ありといいますか、狙いが当たったといいますか、その年の第1級アマチュア無線技士試験に合格しました。
全国で7名、九州で3名の合格者が出ましたが、何と私は20歳、過去にさかのぼり全国最年少合格者となりました。
受信機も送信機も自分で作ったいわゆる手作りの小電力の無線機でしたが、これで結構全世界と交信が出来ました。
いまではアマチュア無線(ハム)を始めて45年以上になりますが、放送局並の設備をそろえて、いわばライフワークとして楽しんでいます。
さて、九州大学に勤務して4年たったころから、私と同年齢の学生が卒業していくようになりました。
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